グラップリング&ブラジリアン柔術のオープントーナメント「GiアマチュアBJJ&グラップリングオープントーナメント2008関東大会」が
東京・浅草にある台東リバーサイドスポーツセンター柔道場にて開催された。

今大会は2日間に渡って開催され、初日の20日はグラップリングの階級別とブラジリアン柔術の無差別級が行われ、
多くの熱戦が繰り広げられた。

まず注目は何といってもパンクラスのメインイベンター、北岡悟選手(パンクラスism)が出場したアダルトクラスAメジオ級だ。

北岡選手は総合格闘技での実績も素晴らしいがブラジリアン柔術の黒帯も取得しており、極め技の多彩さには定評がある選手。

だが最近の試合では判定での決着が多かったため、「極めの感覚を取り戻したかった」(北岡)との思いでこの大会の参加を決めたという。

そして注目が集まる初戦、北岡選手は落ち着き払った表情でマットに登場、気負いはない。

対するはブラジル・サンパウロで開催されたグラップリングの一大イベント「スーパーチャレンジ・グラップリング」に日本を代表して
出場した高阪剛の愛弟子、遠藤亮太郎(アライアンス・スクエア)だ。

自らの課題として「自分からテイクダウンを仕掛けることと極めて勝つこと」を課して挑んだこの試合、果たしてそれを果たすことができるか?

観客の視線を集めながら鋭いタックルで遠藤選手をテイクダウンすると引き込み気味のギロチンで速攻のタップアウトを奪った。


その試合時間、0"35、秒殺勝利で決勝戦進出を決めた。
決勝戦の相手は池田賢治(パラエストラ八王子)だが、この試合でも課題をこなすようにテイクダウンを成功させ、
ポジショニングでも優位に試合を進める。

そしてフィニッシュはまたもギロチン!


これがズバリと極まり池田はタップするしかなかった。

2試合連続のギロチンで一本勝ちし、まさに横綱相撲でトーナメント優勝を決めた北岡選手。


次は「戦極」での試合で一本勝ちを期待したい。
表彰式にて。北岡悟選手(右)安井IF-PROJECT新代表(左)

「自らテイクダウンして極めるという自分がやりたい試合が実践できたのでとりあえずは合格です。
昨年のvsファブリシオ“ピットブル”モンテイロ戦(2007年4月)以来、一本勝ちしていなかったので、とにかく極めて勝ちたかった。
自分の技は刀。どんなにいい刀を持っていても使わなければ錆びついてしまう。次の試合は5月だから、それまで実戦がないと
体がなまるからこの試合に出た。試し切り?そうですね。日曜はコンバットレスリングにも出て優勝します!」(北岡)


北岡選手はこの言葉通りコンバットレスリングにも出場し、またも全試合一本勝ちし優勝、MVPも獲得している。


クラスAで一番の激戦区となったペナ級は10人の参加者を集めたが、実績で頭一つ抜けている石川祐樹(トライフォース麹町)が
危なげなく優勝を果たした。


対戦相手の技をがっちりと受け止め、それらをことごとく跳ね返すフィジカルの強さ、そして柔術黒帯らしい確実なポジショニング。

決勝戦こそレフェリー判定での勝利だったが、すべての試合において磐石の試合運びを見せてトーナメントを制し、
柔術黒帯は裸でも強い!を実践してみせた。

クラスAプルーマ級では新たなスター候補生が誕生した。

パラエストラ川越の松本義彦だ。


松本はブラジリアン柔術ではまだ茶帯だが、グラップリングではパンクラス・プロアマキャッチ、修斗グラップリングなどで優勝しており、
生粋のグラップラー。

この日の試合も極めの強さを発揮し、決勝戦までの2試合を一本で極めている。

決勝戦はサンボのベテラン・若林からパスガード&バックマウントを奪いチョークを極めかけるが若林の固い守りに阻まれ極めきれず。
しかしポイントで7-0と大きくリードし攻め続けたまま勝利、優勝を果たした。


レーヴィ級は高橋良治(日本大学櫻丘高等学校)が見事な復活劇をみせた。


高橋はADCC本戦出場を狙いグラップリングの試合に出まくって実績を重ねていたが、昨年は体調を崩して1年を棒に振ってしまった。

しかし今大会ではそんなそぶりは微塵も感じさせない試合をみせた高橋。

トーナメント初戦をV1アームロックで一本勝ちすると準決勝は対戦相手の欠場でいきなり決勝戦に。

決勝戦の相手は下林義尚(パラエストラ八王子)との顔合わせ。

柔術家らしく引き込んで攻める下林とパスガードを狙う高橋、という試合展開が続くが大きな動きはなく高橋が攻めあぐねる場面が続く。

高橋はまだ本調子ではないのか?との思いがよぎったが、それは杞憂に終わる。

試合終盤、両者スタンドからの再開の瞬間にそのチャンスを見逃さなかった高橋がテイクダウンを決め、そのまま逃げ切り、2-0で接戦をモノにした。

今回、唯一組まれた女子クラスAの試合では女子柔術のパイオニア、茂木康子(ストライプル)に対し新鋭の高橋美季
(ヒロブラジリアン柔術アカデミー)が予想外の大健闘。


高橋がラバーガードやオモプラッタなど多彩なテクニックを繰り出し攻め続け、茂木は防御に回らざるを得ない試合展開が続く。

ポイントこそスイープで得た2ポイントのみだが試合は終始、高橋がペースを握り続け完勝といっていい試合内容で金星を挙げた。

ブラジリアン柔術はこの日、無差別級のみが行われ、アダルト紫帯で石動龍(パラエストラ川越)が、門澤顕(クレイジービー)を
ポイント7-2で破り優勝を果たした。
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